天狼星の欠片

自作の小説や趣味について雑多に書きます

お知らせ

長らく放置してしまって、誠に申し訳ございません。

とりあえず、生きています。元気です。腰は大分落ち着きました。

 

それでは本題。

現在、当ブログに投稿しているオリジナル小説を、ノベルアップ+の方へ順次移行しています。今後は、あちらが一次創作の拠点となります。二次創作については、これまでと同様pixivを拠点としていきます。また、Twitterでもページメーカーを使用して小説を投稿することがあります。Twitter“だけ”に投稿することは無いので、作品だけを追いたいという方は各投稿サイトをチェックして頂ければと思います。

 

そして、移行作業が完了した折には、当ブログは閉鎖させていただきます。現状まともに管理できていないですし、小説も投稿する場を得られたので。

まだ短編小説を中心に移行作業が残っている為、すぐにという訳にはいかないかと思います。ただ、こうしてここで挨拶をする機会はこれが最後になります。

 

亀更新でしたが、長らくご愛読頂いた貴方様には感謝しかありません。今後も、Twitterや各投稿サイトをよろしくお願いいたします。

明けましておめでとうございます

 多分誰よりも遅い新年の挨拶でしょう。
 ご無沙汰しております。高階です。

 気づけば、最後の更新から約九ヶ月。オリジナル小説を(全年齢では)書いていないこともあって、すっかり浮上を忘れていました。とはいえ、創作をしていないわけではなくて。
 以下、最近の創作活動についてのまとめ。

・二次小説にお熱
・初の個人での同人誌発行
・詩にもお熱
・ある大型企画を進行中

 というわけで、最近は二次創作中心に活動していました。これまで書いていたラブライブやバンドリだけではなく、プロセカにも進出しました。大手ジャンル・大手CPってすごいね。ブクマ数トップ3はしほなみに独占されました(これまでの推しCPがマイナー過ぎただけ)。
 ちなみに、同人誌は今年一月、ラブライブからまきぱなR-18小説本を発行させて頂きました。高階を二次創作の世界へと引きずり込み、今なおトップクラスの推しCPとして君臨しているまきぱなです。成人向けなのでここでは宣伝出来ませんが、boothでの通販は継続しています。もし興味がありましたら、購入していただけると嬉しいです。

 詩についても、精力的に取り組んでおります。元々幾つか書いていましたが、本格的にやろうということで、毎日診断メーカーから指定された頭文字、行数、季節をもとに即興で書いています。Twitterにて #一日一詩 というタグを付けて投稿しているので、覗いていただけると嬉しいです。

 最後に、大型企画について。といっても、高階が個人で勝手に盛り上がっているだけですが。バンドリのアプリゲーム内で配信された『春待ちのチョコロールケーキ』の作中に登場した、つぐちゃんや紗夜さんが愛読している小説『白い花より静かな夢』を再現しようというものです。現在、大まかなプロットまで組んでいて、プロローグの執筆に取り掛かっているところです。十万字前後の長編小説になることと、現地ロケがまだこれからであることから、完成には時間を要する予定です。一応の目標としては冬頃を設定していますが、もう少し延びるかもしれません。理由は後述します。

 現在の創作活動についてまとめると、再現小説に取り組みつつ、毎日詩を書いて、定期的に二次小説(ワンライ中心)を書いているといったところですね。

 他にも、モンハンライズの発売に伴ってかなり熱を持って遊んでいたり(本日時点でHR910、勲章コンプリート済)、更にはプレイ動画の投稿にまで手を出したりしていました。


 それともう一つ、直近で大きな出来事がありまして。なんと……腰を痛めました。腰椎椎間板ヘルニアです。受傷起点からすると、ぎっくり腰(腰椎捻挫)もあるかもしれません。何が起点って仕事なのですが。現状ほぼ寝たきりで、家の中は何とか動ける程度の状態です。受傷から四日目の現在、支持物無しでも歩けるようになってきました。すぐ痛くなるけど。そんな状態なので仕事の方も休みを頂いていて、手持ち無沙汰だけど何も出来ないといった現状、このブログの存在を思い出して舞い戻ってきた次第です。


 以上、創作活動を含めた近況報告でした。決して元気とは言えないですが、生きています。Twitterでは相変わらず何かしら呟いています。
 また忘れないうちに記事を書くよう、自分に言い聞かせておきます。では。

不死鳥は哀しく啼く

 私には、これといった個性なんて無い。勉強も運動も頑張れば足を引っ張らない程度に出来るけど、活躍する程じゃない。そして頑張ることは嫌いだけど、悪目立ちはしたくないから涙を飲んで頑張らざるを得ない。表面的にはそこそこの友達がいるけど、心の底から信頼できるような所謂親友はいない。そんなどこにでもいるような、平凡で無個性で孤独な私。今日も消化試合のごとく、いつも通り自転車の重いペダルを必死に踏んで高校へ向かっていた。逆に言えば、自分の人生において劇的な変化が起こるなんて、全くの想定外だった。窮屈な空気に包まれていても、窮地に追い込まれることなんて無いと、勝手に思い込んでいた。しかし、現実は非情だ。脇見運転をした車が突っ込んでくることだって、いつでも起こり得ることだったのに。もっとも、それらを認識出来たのは、暴走するタイヤに半身を巻き込まれ、意識を手放すことも許されない激痛に襲われてからだったけれど。

 周囲の騒ぎが遠く聞こえる。ああ、死ぬんだろうなあ私。全身痛みしか感じないけど、目を覆いたくなるような飛び散った肉片や鼻を塞ぎたくなるほどの血生臭さが情報として入ってくる。それらを遮断する術など持ち合わせていないけど。死ぬことを理解は出来ても受け入れられない。何の味気も無い人生だけど、それでも手離したくはない。いっそ死にたいと思うことはあっても、いざ死の場面に直面すると、死にたくない。死ぬのが怖い。でも、そんな気持ちと裏腹に、僅かに残っていた感覚も全て痛みに塗り替えられていく。嫌だ。死にたくないよ――

 


 あれ、痛くない。
 身体の感覚は何も無い。
 ついに死んじゃったのかな。これが所謂、魂とかいう存在なのかな。
 でも、遠くの方で何かが聞こえる。よく見たら、完全に無だと思ってた周りが、少しずつ白く明るくなっていく。身体の感覚が少しずつ戻っていく。何が何だかわからない私を、突如眩い光が襲ってきた。思わず顔をしかめ、顔を手で覆う。捻り潰されたはずの手がある。それを認識するのと光が晴れるのは、ほとんど同時だった。

 目を開くと、そこは全面を石造りの壁に覆われた空間だった。とても冷たい。あっ、私裸足だ。服は……高校の制服だ。でも、所々破れている。というか、肝心な所は辛うじて守られているけど、制服というよりは継ぎ接ぎだらけの布だ。うわ、恥ずかしい。しかも、目の前には知らない人がいる。ジーッと見られてる。思わず自分の身体を抱いてしゃがみ込んだ。

「――!? ――――?」
「――――!」
「――……」
「――!!」

 な、何を言ってるのかさっぱりわからない。外国語かな。英語……とも違う気がする。目の前の四人は、私から目を離さないで何やら激しく言い合っている。

「あ、あの……そんなに見ないで……」

 遠慮がちに発した言葉は、やっぱり通じてなさそう。それどころか、屈強な男たちには剣を向けられ、凛とした女性の手には炎が燃え上がっている。って、炎!? 何で? 熱くないの!?!?
 恥ずかしいのは山々だけど、死ぬのは嫌だ。敵意が無いことを示す為に、身体を抱いていた手をほどき、両手を上げた。その刹那女性の手から炎が放たれ、男たちの剣に切られ、刺される。熱い。痛い。嫌だ、死にたくない。嫌だよ! しかし非情にも、後ろに控えていた小柄な女性から光の塊が放たれ、私の身体を押し潰す。車に轢かれた時のような激痛が全身を襲う。もしかして、目を覚ましてからのことは全部夢なのかな。私の身体は依然、車に轢かれた時のままってことかな。
 しかし、それは思い違いだということにすぐ気づかされる。痛みが引いた後の私の身体は傷一つ無く、ただ服が切られ焼かれ、更にあられもない姿になっていただけだった。理不尽に私を襲った四人は、目を見開いている。こっちの方が驚きたいよ、もう。
 それから、四人は代わる代わる攻撃を繰り出した。その都度痛みに襲われるんだけど、身体はびくともしない。でも服はそうもいかないから、五分と経たずに裸同然にされてしまう。しかし蹲っても攻撃の手を緩めてくれない。そればかりか、更なる猛攻を仕掛けてくる。死なない……けど、痛いのも嫌だ。何もわからなくて怖いけど、この終わりなき苦痛からは逃げたい。喧嘩なんてしたことないけど、やらないとやられる。というか、やらないと終わらないかもしれない。流れる涙は見ない知らない。恐怖や羞恥心を押し殺し、意を決して立ち上がった。途端に、男の一人に押し倒され、首を絞められ胸に剣を突き立てられる。苦しい。痛い。でも、意識はハッキリしている。男の手首を掴むと、恐怖に顔を歪ませて必死に掴んだ手に刀を振り下ろす。痛いけど、切れない。空いた手で男の腕を殴ると、男の腕が明後日の方向へひしゃげた。拳が痛いけど、それ以上に自分の力に驚いた。よくわからないけど、私の身体はあり得ないほど頑丈になっているらしい。
 それからは必死だった。向かってくる男たちを動かなくなるまでひたすら切られ殴り刺され殴る。身を焼かれ光に潰されながらも女も殴り倒した。どれくらい経ったのかはわからない。けれども、ひとまずは苦痛から解き放たれた。

「うぐっ、えぐっ、何で。どうしてなの」

 途方に暮れて辺りを見回した。石の壁に覆われてはいるけど、上は開け放たれている。しかし、遠すぎて空模様さえよくわからない。どこか出られる場所は……無い。完全に袋小路だ。壁伝いに一周歩いたが、出口らしき場所は無い。どうやって出ればいいんだろう。この人たちだって、いつ目を醒ますかわからないのに。……生きてたらだけど。正直、無我夢中だったから四人の生死もわからない。かといって、怖いから近づいて確認なんて出来ない。こうなったらもう、あれしかない。自分から行動を起こすなんて以前の自分ではあり得ないけど、人間追い込まれれば案外動けるものなんだな。石壁を殴って掘り進めながら、血の流れない拳を見つめた。慣れることのない痛みに苛まれながら。

 石壁が土になるまでに、何百、何千と指の骨が折れるような痛みを味わった。土は石ほど痛くはないけど、目や口や鼻に土が入り込んできてとても苦しい。上下感覚もわからないまま掘り進むのは、石壁を砕く以上に時間が長く感じる。というか、普通は生き埋めになるはずなんだけど、やっぱり死なないんだなあ。死なない以上、自分で頑張って地道に進まないといつまで経っても息苦しい土の中だ。それはもっと怖い。

 どれだけ掘り進めてきたのかは、もうわからない。疲労は蓄積するけど、身体の動きは鈍らない。たくさん涙を流して枯れ果てたはずの身体は、脱水症状に陥ったみたいに重怠いけど、でも機能不全に陥る気配は無い。どうせ頑丈なら、苦痛も無ければ良かったのに。そう思ったところでどうしようもないのはここに来てから嫌というほど痛感しているけど、それでも己の理不尽さを呪いたくなる。と、指先が柔らかい土ではなく、硬い感触を捉えた。周囲を掘り進めてみると、それは前面に広がっている。この感触は、石? 散々痛い思いをして砕いてきた感覚を思い出して身震いするけど、でも、進まなきゃ。誰も助けてなんてくれない。今も昔も。えいっ。えいっ。

 意外にも、一分と経たずに拳の痛みから解放された。そればかりか、いつぶりかの開けた空間が、そこにはあった。やっと苦痛から解放される! その一心で空間に飛び込んだ私の身体を、浮遊感が包む。一秒、二秒、三秒……って、どれだけ高いところから落ちたの!? 嫌だ嫌だ、痛いのは嫌だ――

 グシャッ

「いったーーーーい!!!!」

 これは両足折れた。石壁を殴った時の非では無い痛みに襲われ、思わず身体が頑丈なことを忘れた。でもやっぱり、両足は折れてるどころかかすり傷一つ無かった。

「ここは――」

 暗い場所とはいえ、土の中と比べたら可愛いもの。段々と目が慣れてきて、周りを見渡す余裕が出てきた。どうもここは、円筒型の空間のようだ。先程私が穴を空けた壁は、レンガで出来ている。そして、ドライバーの溝のように、ぐるぐると螺旋階段が上に伸びている。勢いよく飛び出さなければ、一番下まで落ちることもなかったのかも。あっでもそうすると、硬い階段を転げ落ちることになるのかな。うーん、それはそれで痛そう……。と、とにかく! ここは最下層みたい。だったら、上に登らなきゃ。見上げた限りでは、終着点が見えないけど。

 ところで、ここって何だろう? 明らかに人の手が入ってるよね。その答えは、足元に用意されていた。

「ひっ……」

 悲鳴すら出せない程のおぞましさ。これらが何かは、よく知っている。大半は骨になっているけど、中にはまだ肉が残っているものもある。比較的に原型を留めている者と目が合ってしまい、無我夢中で階段へと駆け出した。一歩踏み締める毎に骨が砕け、肉を押し潰す。そして幾度か、足を取られて転んでしまう。ぐちゅっと嫌な音がして、地面に触れた身体がじんわりと温かい。怖い。気持ち悪い。嫌だ!

 どれだけ階段を駆け上がったのかわからない。足が棒のように重くなっても、足先を引っ掛けて転んでも、足を止めなかった。痛いけど、苦しいけど、足は動くから。後ろの死体の山から少しでも早く逃れたかったから。そして、永遠のような螺旋階段にも終わりが訪れる。終着点には、鉄製の重そうな扉が立ちはだかっていた。鍵は――当然掛かっている。ええい、ここまで来たら自棄だ! 扉がひしゃげ、穴が空くまで、何回も何回も殴り続けた。その一発一発が骨の砕けるように痛い。それだけじゃなくて、あまりの硬さに腕や肩も反動で痛い。本来なら、腕ごとグチャグチャになるほどの衝撃なんだろうな。その痛みに慣れることは、無い。

 と、扉の向こう側から撫でるような風が吹き込んでくる。相変わらず暗いけど、それでも空が見える! ついに、外に出れたんだ! 扉の向こう側に降り立つと、そこは草原が広がっていた。夜空が広がっていて、今まで見たこと無いほどたくさんの星が瞬いている。再び、優しい風が全身を撫でる。そこでやっと自分が何一つ身に纏っていないことを思い出した。慌てて蹲るが、辺りに人の気配は無い。しかし、遥か下方に幾つもの光が見える。意を決して歩き回ってみると、ここが小高い丘の頂上だとわかった。麓には集落らしきものが広がっていることも。そして、のどかな田舎の集落に似合わない高い塔がそびえ立っていることも。塔のてっぺんは、空の中に埋もれて見えない。

 これから、どうしよう。普通なら集落に降りて助けを求めるべきなんだろうけど、またここに来た時みたいに襲われるかもしれないと思うと、人に会うのが怖い。それに、今の私は裸だ。死ぬより苦しい思いを幾度と無くしても、私だって年頃の女の子。羞恥心は無くならない。

「――!?」
「えっ? ……きゃっ!」

 声の方向には、いつの間にか若い男が一人。慌てて蹲ると同時に、男の手から目映いほどの電撃が放たれる。

「ぎぃやあああああっ!!」

 身体が痺れる。全身を鞭を打たれたような強い衝撃が襲う。でも、やっぱり傷はつかないし、身体は変わらずに動く。裸を見られちゃうから動けないけど。

 動かない私に、男は何かを叫びながら容赦なく電撃を浴びせてくる。何で。どうして皆私に攻撃してくるの? 私が何をしたっていうの!? ……やるしか、ない。脳裏に浮かぶ四人の横たわる姿を振り払い、立ち上がった。電撃を浴びる度苦痛で足が止まるけど、一歩一歩男に近づく。あと数メートルというところで、電撃の切れ目に男へ向かって駆け出した。とびきり強い電撃を至近距離で浴びるが、それと同時に私の拳が男の顔面を捉えた。思わず蹲る男の髪を掴み、何度も何度も顔面に膝蹴りを浴びせた。男の身体が脱力して、私の力じゃ持ち上げられなくなるまで。

「はあ……はあ……またやっちゃった。痛いよ。怖いよ」

 しかし、痛みや恐怖を抱き締める余裕は無かった。四方から足音と話し声が近づいてきたからだ。今までの非ではない数の気配。想像しがたい苦痛がこれから訪れることは、もはや避けられない未来になりつつある。これからも、いつ終わるかもわからない理不尽と向き合い続けることになるのだろう。でも、逃げても何も解決しないって、理解した。理解させられた。どれだけ痛くても、恥辱を味わっても、他人を傷つけて心を痛めても、向き合うしかない。覚悟はできないけど、諦めることはできた。死ぬよりもツラい日々は、まだ始まったばかりだ。

 哀しい決意を胸に、蹲るのをやめた。立ち上がった。もう、丸裸の身体は隠さない。私は奥歯を噛み締め、これから襲来するであろう苦痛に備えた。